サーカスがやって来た

 

巨大なテント
見る見るうちに膨らみ
さむい空に
赤 青 黄色の
アドバルーン

獣の匂い
お化粧の匂い
芳ばしい揚物の匂い
広場は一挙に賑わった

空中を飛び交う人間ロケット
ターバンを巻いた象使いの
勇気に声をうしない
ムチを掴もうと
立ち上がって虎が吼えたとき
少年の体は仰け反ったまま
固まった

それからしばらくして
「道」を観た少年は
サーカスがきらになった

 ぼくらは笑ったが
 ピエロは
 ほんとうに泣いていたのだ
 ゆったりと樽を転がしていた
 象の脚には
 鉤が食い込んでいたのだ

哀しい調べ《ジェルソミーナ》
サーカスがやってくると
ぼくの心
しぼんでくる

 * フェデリコ・フェリーニ監督1954年伊映画

 


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