かくれんぼ

 

蚊柱が捻り
虫の死骸の饐えくさい
土蔵のうら
じっと潜んでいる僕に
遠くで鬼のこえ
汗を吸って冷たいランニングシャツ
侵入者を推し量る蝮草の長い舌
次元の罅に嵌り込んで
見つけられない不安
このままずっと・・・・・・

痛い 痛い
言いながら死んでいったまこちゃん
最期の別れはしなかった
棺を覗くのが怖くて
押入れに隠れていた
外は忙しく
足音が行ったり来たり
誰も気付いてくれない
読経ばかりが陰々とつづき
まこちゃんと一緒にこのまま
土の中に埋められてしまいそうな
誰からも忘れられてしまいそうな
不安
押入れの中で僕はわんわん泣いた
    七つだった

暫く
鬼のこえがしなくなって
そっと 首を伸ばすと
陽の当たって明るい広場を
母に引かれて
帰っていく僕がいる
頭を撫でられ
エプロンから薄荷飴をもらい
スキップしながら
くちを真っ赤に石の狐
何かぬめぬめした生きものを
踏んづけ
有りっ丈の声で叫ぶ
僕は此方だよぉーー

手を引かれながら
僕ではない僕が振りかえる
くちもとに薄笑いを浮かべて

 


トップ  | サーカスがやって来た | | よぶり火 | かくれんぼ | ここにいるよ | 茹栗  
プロフィール
|BOUBOU | 和気記念館